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とある工場で

ここでは、とある工場で に関する情報を紹介しています。
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俺が中学のときだから昔の話になるけど、クラスの仲間と先輩たち五人で小
学生にかなりヤバイ事をしたことがある。
  
当時の俺といえば、年上の人達と付き合いがあったせいか知識だけが豊富
になっていて、頭の中がいつも女のことでいっぱいになっていた。
あの時も、いつものように封鎖された工場に忍び込んで煙草を吸ったりエ
ロ本を見たりしながら、「昨日、S美の生パン見た」とか、「テニス部のM奈
とヤリてぇ」とか言って盛り上がっていた。
  
この辺りには丘陵地沿に造られた工業団地が在り、それに伴う社宅や小学校
が緑地として残された雑木林の中に点在していた。
すでにバブルと呼ばれた時代が終わっていた頃。いくつかの企業は撤退し
、小さな工場は次々と封鎖され、残された施設などが廃墟と化していた。
   
作業場に連れて来られた女の子は、モルタルの剥げた灰色の壁に背を向ける
と脅えきった表情で呆然と立っている。
  
「お前、北小の六年か・・・?」
    
S君が奪いとったランドセルを物色していると、女の子が許しを請うように
声を震わせながら訴えてきた。
「ホントに、持ってないんです・・・」
  
もう一人の先輩は、壁にもたれかかっている女の子の顔のすぐ横に手を突
くと威圧的な態度で睨みを利かせながらも、舐めるような視線でTシャツ
から透けているストライプ柄のキャミブラを見ている。

建物の外は何事もなかったように生えるに任せた丈の高い雑草達がわずかに
吹く風に揺れてカサカサと音を発てているだけで他には物音ひとつ聞こえな
かった。
こうしていると建物の中で起きている出来事は自分とは無関係の遠い世界の
出来事のように思えてくる。
     
どれくらい時間が経ったのだろうか、遠くから聞こえてくる蝉の声がやけに
うるさく感じるほどの静けさに、落ち着きを取り戻した俺は、覚悟を決めて
建物の中に入っていった。